デリカD:5

新型デリカD:5の評価は?外観のデザインと対照的に中身は超真面目

SUV?ミニバン?両車の良いとこどりした【SUVミニバン】のデリカ

私は現在スイフトスポーツに乗っていて今までも様々なスポーツカーを好んで乗ってきた「スポーツカー大好き人間」なのですが一方でオフローダーも大好きです。ジムニーやランクルなどの本格的なオフローダーはもちろんのことシティ派なライトSUVも好きです。(実際スイフトスポーツに乗る直前はSUVに乗っていましたし、仕事ではジムニーに乗ることもあります。)

そんな私なのですが車の中でミニバンは他の車種に比べて興味は薄めです。ミニバンも大人数で色んな所にいける良い車だとは思うのですが、やっぱりオフローダーやスポーツカーのように走らせて楽しい車が好きなんですよね。

ただそんなミニバンの中でもデリカD:5だけは違います。

デリカは全グレード選べる駆動方式が4WDだけという潔いグレード構成となっているのですが、デリカの4WDシステムは他のミニバンが搭載しているような「生活四駆」と言われる簡易的な全く別物です。

デリカは丁度SUVとミニバンの間くらいに位置している車で、言うなればSUVの走破性とミニバンの便利性を持ち合わせた最強のオフローダーミニバンなのです。

 

今回はそんな気になっていたデリカD:5に試乗してきましたので私なりの評価と気になったポイントを解説してみたいと思います。

デザインはダサく感じるし機能面でもデリカらしくない

私は先代のデリカD:5にも試乗したことがあるのですが先代のデザインはまさに「オフロードを走る車でっせ!」って感じのフロントマスクをしていて非常に格好良かったです。機能性の面から言ってもオフロードで傷付いても気にならない素材が使われていて好感が持てました。

しかし現行型になって残念ながらフロントマスクは「デリカらしさ」を少し失ったと感じました。恐らくライバルであるトヨタのアルファードやベルファイヤを意識したデザインなのでしょうが、そもそもアルベルとは立ち位置が違いすぎます。

アルベルはラグジュアリーな都市型ミニバンですので外観デザインもメッキキラキラでいいんですが、デリカはあくまでオフロードに向けた車です。

私も仕事でジムニーに乗って林道を走って山の頂上まで行くことがあるのですが林道を走ると車は傷だらけになります。ジムニーが走るようなガチ林道じゃなくてもちょっとした砂利道ですら飛び石などで車には傷がつきやすいです。

その際にメッキの外装っていうのは傷が目立ちやすいんです。それにもし破損した時の修理費も高くつきます。デリカの性格を考えれば無駄にアルベルに対抗せずにデリカの独自路線を歩むべきだったと思います。

 

ただ賛否の別れるデザイン面とは打って変わって性能面では正常進化しています。

 

オフロード性能そのままに快適性は飛躍的に向上した

先代のデリカD:5のディーゼルモデルが登場したのがおよそ12年前になるのですが、新型となって驚かされるのはその静粛性です。先代デリカは良く言えばワイルド、悪く言えば「うるせー!」って車だったのですが新型はまさに「シーン」としていました。

ディーゼルエンジンにありがちな「ガラガラ音」も全く聞こえず、高速道路の合流の時に遠くの方で少し聞こえる程度の静粛性でした。実際三菱自身も純正フロアマットに吸音性を持たせるなど「静粛性」についてはかなりこだわりを持っている印象を受けました。

吸音機能付き純正フロアマット。価格は高いが買って損はないだろう

 

トランスミッションは拘りの8速AT

個人的に最も評価したいポイントが今流行のCVTではなくATを搭載したことです。先代までも6速多段ATでしたが新型は更にギア数を増やして8速ATとしています。

さすがに8速もあると先代までの6速ATのような「段付き」は感じられず、非常にスムーズな変速を披露してくれました。多段ATは快適性もそうですが、何よりもオフロードを走る上で絶対条件とも言えるのでこの点については「流石オフローダーの三菱」だと言えますね。

流行に流されずちゃんとデリカのトランスミッションとしての路線を守り抜いている姿勢は評価できます。

デリカD:5のエンジンはトルクモリモリ!クラスNo.1の力強さ

デリカが搭載しているディーゼルエンジンは名前を「4N14型」と言います。先代から搭載されているエンジンなのですが新型ではこの4N14型エンジンをベースとしてよりブラッシュアップされています。

詳しくは別の記事にしますが、改良内容としては多岐に渡っていて、簡単に言うと「より力強く、より静かに」なった4N14型エンジンなのです。具体的な数値は以下の通りです。

4N14(改良)
排気量(cc) 2267
エンジンシリンダー配置 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC
ボア×ストローク(mm) 86.0×97.6
圧縮比 14.9:1
過給器 インタークーラー付きVG/VDターボ
燃料噴射装置 ピエゾ式コモンレール
最高出力 130 kW(177 PS)/ 3,500 rpm
最大トルク 380 N・m(39.0 kgf・m)/ 2,000rpm

 

実際乗ってみても新型デリカは吸音材が増やされたこと以上にエンジンの改良による静粛性の向上の方が大きな要素となっている印象を受けました。

そしてなんといってもディーゼルエンジン特有の低速からモリモリくるパワーは先代から健在で…というかパワーアップしていて先述した8速ATと組み合わせることによって、まさに「スイーッ」と加速していきます。

基本的にディーゼルエンジンなので高回転域まで回ることが無いため余計にシフトショックが少なくて静粛性に繋がっているのだと感じました。

また新型デリカD:5に搭載されている4N14型エンジンは同クラスのミニバンの中では最もトルクフルです。アルベルに搭載されているミニバンにあるまじきロケットのような加速力を見せてくれる3.5リッターエンジンのトルクが【361N・m(36.8kgf・m)/4,600〜4,700r.p.m.】であることを考えればデリカD5のエンジントルクの力強さがイメージしやすいかと思います。

ただあくまでディーゼルエンジンですのでトルクフルなエンジンではありますが馬力が170馬力と控えめになっておりますので、アルベルの3.5リッターエンジンのように「高速域でどこまでも加速していく」ような感覚はありません。

アルベルがロケットのように猛然と加速していくのだとすれば、デリカはリニアモーターカーのように「スイーッ」とジェントルに加速していくイメージでした。

とはいえデリカの使用用途を考えれば過不足は全くありませんし、むしろオフロードを走ることを考えればこのディーゼルエンジンは珠玉のエンジンです。

 

コーナリングは優れた4WD機能とボディ剛性によって良く曲がってくれる

ディーラーでデリカD5に乗せてもらって一般道→高速道路→峠道の順に乗らせてもらったのですが乗り味で最も驚いたのが峠道に差し掛かったあたりでした。

私はその道を自分の愛車のスイフトスポーツでも良く走るのですが結構な勾配と急カーブが続きますのでスイフトスポーツでも中々走るのが大変な道です。

その道をミニバンであるデリカD5で走ってみたところ…

「思ったより良く曲がるな!」

これが率直な印象でした。

正直乗るまでは「大柄なミニバンだから峠道は苦手だろうなぁ」と考えていました。しかしそれは良い意味で裏切られました。

もちろんボディが大柄なのでスポーツカーのようにスイスイとはいきませんが、ミニバンとしては十分軽快感がありました。これはデリカD5の持つボディ剛性と4WD機能の性能が非常に高いからです。

デリカの4WD制御は電子制御多板クラッチ式が採用されているのですが、その制御の一つに「ヨーレートフィードバック」と呼ばれる車両に装着されたヨーセンサーから車両の旋回運動を検知して電子制御カップリングを制御する機能が装着されています。

この機能によってコーナリング中にアンダーステア気味となった場合に後輪へ最適なトルクを伝えることによって回頭性を向上させています。

またデリカD5はフレームに「リブボーンフレーム」を採用しており高いボディ剛性を有しているのですが更にボディ剛性と安全性を高めるために大型のクロスメンバーも採用しています。

この高剛性ボディ+高い4WD機能によって大柄重量のボディながら良く曲がってくれるミニバンとなっています。

 

まとめ:デリカD5はオフロードもシティもこなせるマルチミニバンとなった

先代までのデリカD5はどちらかというとかなり骨太な車でしたしオフロードの良く似合うミニバンでした。しかし新型になって良くも悪くも「デリカD5=オフロード」というイメージが薄くなりました。

ただ外見は少しチャラくなってしまいましたが中身は先代までのデリカ同様骨太な車となっていますので安心してください。

外見的には従来からのデリカD5ファンは少し物足りなさを感じるかもしれませんが乗ってみればデリカD5として正常進化をしていることがわかるはずですので外見だけを見て「俺の好きなオフローダーのデリカD5は消えてしまった」と落胆するのではなく試乗して試してみることをおすすめします。

デリカD:5のすべて 

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