BMW製エンジンを手に入れたA90スープラ。武器はエンジンだけじゃない!
スポーツカーを作るのに内製エンジンじゃないの…?
新型スープラのリーク情報が出回り始めた頃、そのような話が色んな所でされていました。トヨタの大人気スポーツカー「スープラ」の後継車なのにBMWと協業するという噂が広まったからです。
自動車業界では「OEM」と呼ばれる商品供給を受けてガワだけ変えて自社の新型車として販売する手法が多く取り入れられているので「スープラもそうなるのではないか?」と、まだ登場もしていない内から軽く「落胆」されていたのです。
しかし蓋を開けてみれば新型スープラは決して「BMWZ4のガワを変えただけの車」などではなく、トヨタの魂が込められたカリッカリの「戦闘機」としてデビューしたのでした。
そんな戦闘機であるスープラを【新型スープラのすべて】では5人のプロドライバーが徹底して味見し良い所も悪い所も丸裸にしています。
その記事を熟読して見えてきたものがあるので今回記事にします。
エンジンの性格は直6ながら低速トルク型
まずは最大のトピックであるBMW製3リッター直6ターボです。BMWの直6と言えば「シルキーシックス」と呼ばれ、その滑らかなフィーリングと素直な特性が大人気でした。そんなBMWの直6を新型スープラは手に入れたのです。
直6と言えば中低速トルクが弱点となりがちですがA90スープラの積む直6ツインターボは低中速のトルクが非常に太いので乗りやすいエンジンとなっています。最近流行っているトルク型エンジンですね。とは言え340馬力と50キロというハイパワーエンジンなので「非力だ」と感じることは一切ないでしょう。
また後述する8速ATと相まってサーキットはもちろん街中でも非常に乗りやすいエンジンとなっています。
大トルクでリアは滑りやすく挙動も少し過敏
50キロという大トルクと車重の軽さによってラフなアクセルワークをすると簡単にリアはスライドします。
なんだかこう書くと「なんだ乗りやすいエンジンって言っていたのにじゃじゃ馬なのかよ」と思われるかもしれませんが、リアがラフなアクセルワークで簡単にスライドするのは逆に言えば適度なアクセルワークでスライドをコントロールできれば速く走れるということです。
スポーツエンジンの「乗りやすい」と大衆エンジンの「乗りやすい」は全くベクトルが違います。スポーツエンジンの「乗りやすい」とはすなわちドライバーが意のままにコントロールできるということです。
そういった意味では新型スープラのリアをスライドさせやすいのは「スポーツカーとして乗りやすく」好ましい特性と言えるでしょう。
ただ一方で新型スープラは限界性能こそ高いもののショートホイールベースなのでスピン状態へ移行したときのコントロールは難しく限界を超えた時にドライバーは非常にテクニックを求められます。
ショートホイールベースでドリフト難易度は高い
リアをスライドさせやすいと聞くと真っ先に思いつくのが「ドリフト走行」かと思います。最近ではドリフトナンバー1を決める大会である「D1グランプリ」も人気が出てきていてドリフト走行は非常に注目されているモータースポーツの一つです。
新型スープラが出たらドリ車に改造してD1を目指そう!と考えている人もおられるかと思いますが新型スープラはお世辞にも「ドリフト向きの車」とは言えません。
エンジンパワー的には何の文句も無いのですが問題はホイールベースの短さと車重です。
リアを滑らせ始める角度とスピードがシビアでD1グランプリでも得点の高い「長いドリフト」を実現するのは非常に難しい車です。
ただ逆に言えば難しい車をドライビングテクニックで押さえつけて格好いいドリフトを決められたら最高ですね(笑)ドリフト走行はそういった楽しみをもったモータースポーツですのであえて新型スープラを選ぶのも悪くないと思います。
新型スープラの8ATの完成度は抜群!ただMTモデルも欲しい
新型スープラに現状MTモデルは存在しません。3グレードすべてが8速ATです。
新型スープラに搭載されるトランスミッションはZF社製の8速ATで名前は「ZF 8HP Gen.3」と言います。先代の「ZF 8HP Gen.2」と比べてローギヤード化されていてダイレクト感も高いしスポーツ走行で重要なエンジンブレーキも強烈に効かせることができます。
ZF社によれば新型スープラに搭載されている「ZF 8HP Gen.3」は「いつでもDCT並の変速スピードにすることができる」と公言しているほどダイレクト感に溢れています。通常の街乗り、サーキット走行、峠道、全てにおいて不満を感じることは無いでしょう。
水面下でMTモデルも開発中!
とはいう物のやはりスポーツカー愛好家ならば「マニュアルトランスミッション(MT)」で乗りたいものです。現代ではオートマチックの方が効率がよく速いと分かっていても、車の挙動を全てコントロールできるMT車の魅力は捨てがたいものがあります。
当然先代スープラに乗っていたユーザーはMTユーザーが多かったのですが新型スープラでは8ATモデルしかないと聞いて落胆した人も多いのではないでしょうか?
しかし落胆することなかれ!実は新型スープラの開発チーフエンジニアの多田さんによると「水面下ではテスト中」とのことです!(【新型スープラのすべて】33ページ参照)
「スープラに乗るならMTしか乗りたくない!」という人も諦めずに期待してマイナーチェンジを待ちましょう!
新型スープラのハンドリングはかなりクイック
新型スープラのハンドリングはトヨタ車らしく非常に軽く作られています。ただプアなトヨタ車特有の嫌な軽さではなくクイックさと上質さを兼ね備えた上手くチューニングされたハンドリング特性とのことです。
さらにハンドルのクイックさを測る数値の一つとして「ロックtoロック」がありますが新型スープラのロックtoロックは2回転とスポーツカーらしくクイックに調整されています。
ただハンドルのクイックさはスポーツ走行をする上では刺激的で素晴らしいのですが高速道路などでひたすら真っすぐ走る場合は頻繁にハンドルの微調整をしなければならないので疲労感を感じることになります。新型スープラはショートホイールベースなこともあって特にそう感じることでしょう。
BMWと比べると比較的穏やかで上質感がある
ハンドルがクイックと言えば真っ先に思い浮かぶのがBMWです。ハンドルの初期から車がしっかり反応してくれるのでスポーツ走行をする時には笑っちゃうほど面白いです。
しかし先ほども述べたようにクイックな特性のハンドルというのは高速道路などでひたすら真っすぐ走るのは苦手なのです。BMWで数百キロ走ろうものなら非常に疲れてしまいます。
しかしその点新型スープラは非常にクイックながら「BMWよりはまだ穏やか」な特性をしていて落ち着きも持ち合わせています。その為日常生活でも不便を強く意識させられることも少ないでしょう。
絶妙なセッティングというのはなんとも説明が難しいのですが、イメージとしては一般的なハンドリングと過敏なBMWのハンドリングの丁度間くらいです。
そう考えるとスープラという車の性格に丁度マッチしていて更に普段使いもしやすいという、トヨタお得意の「心配り」がされているハンドリングだと言えます。
新型スープラはサーキットの主役になれるか?
新型スープラがトヨタ渾身のピュアスポーツカーであることは分かって頂けたかと思います。ではそんな新型スープラはサーキットの主役になれるのでしょうか?
ここからは少し個人的な考えになってしまいますが、サーキットで主役のように見かける車にはいくつか条件があるように感じます。
- 素性の良い速い車
- ユーザーが手を加えやすい車
- アフターパーツが豊富な車
- 価格が安い車
あたりが選ばれやすい理由になっていますが、この中で新型スープラが持ち合わせていないのは「価格の安い車」という点だけです。それ以外はクリアしているのでこれからサーキットで見かけることが多くなるでしょう。
素性の良さは文句の付けようがありませんし、ユーザーが手を加えやすいのもツインターボということでOKでしょう。アフターパーツも大人気車の80スープラの後継「90スープラ」のパーツが開発されないわけがありません。
これからサーキットで新型スープラを見かける機会は非常に多くなるでしょう。
…ただやはり車両価格700万円の車ですのでクラッシュや故障が怖くてアクセルを踏みきれないという可能性は大いにあります(笑)
良い意味で「乗り手を選ぶ」昔ながらのスポーツカー
新型スープラは今までのトヨタ車のように「万人受けする車」ではありません。ある程度の乗りやすさは残しつつ基本的には刺激的に作られています。ですので車に興味の無いおじさんがファッションで乗り換えるような車ではありません。
あくまで「走りを楽しめるドライバー」に対して強くアピールされた車です。
しかも車の特性もスポーツカーの中で見ても大人しいものではなくドライバーを楽しませる車に仕上げられています。走る為にスポーツカーを買おうと考えている人でも「自分のドライビングに合っているか」を考えなければいけないほど「乗り手を選ぶ車」だといえます。
A90スープラかBMWZ4かどちらにするか?ヒントはボディ形状にあり
新型スープラを買う上で多くの人が迷うことになるのがプラットフォームを共有する「BMWZ4」と「A90スープラ」どちらにするかというものです。
結論から言ってしまえばオープンドライブを楽しみたいのであればソフトトップを持つ「BMWZ4」を選ぶべきですし車との一体感を楽しみたいなら新型スープラを選ぶべきです。
Z4のもつオープンカーとしての独特の雰囲気というのは何物にも代えがたいものがあります。例えるなら快適なバイクといった感じです。
一方でオープンカーの宿命としてボディ剛性が若干低くなってしまうというデメリットがあります。まぁそういった状態を感じ取れるのは本当に限界近くになってからなので街乗りしかしなかったり峠道を軽く流す程度ならば気にすることは無いでしょう。
新型スープラは「走り」を楽しみたい方にピッタリです。スープラはクーペボディ特有の「車との一体感」を楽しむことができます。特にハイスピードになればなるほどその感覚を大いに楽しむことができます。路面からタイヤ、タイヤからボディ、ボディからシート、シートからドライバーへと微細な感覚すらも伝えてくれるので車と対話しながら楽しく走ることができるでしょう。
結局の所「新型スープラ」を選ぶか「BMWZ4」を選ぶかはオーナーがどういった走り方をするかで決まります。どちらも良い車ですので必ず自分のフィーリングに合った方を選びましょう。
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