Mazda3

マツダ車が高いと言われてしまう理由と売れなくなった理由を考察

コロナ禍の中で世界中の様々な企業が人々の経済活動の停滞により大打撃を被っています。

その中で自動車メーカーも例外ではなく、大きな苦難に晒されています。その中でマツダは大健闘しており前年比の落ち込みはメーカー各社の中でもかなり少なく抑えられています。これは規模の小さな自動車メーカーとして素晴らしい経営をしています。

しかしそんなマツダですが、実はそもそもコロナ以前から少し雲行きが怪しくなってきています。その理由については各種メディアが解説しているので割愛しますが、要はMazda3とCX-30の売れ行きが芳しくなかった事が主な要因のようです。

私が同じ分析をしても面白くもなんともないので、私はイチユーザーとして何故マツダ車が思うように売り上げられていないのかを考察してみたいと思います。

ちなみに予め言っておきますが私は初代CX-5とRX-7のオーナーでしたのでマツダというメーカーは大好きです。
この記事では少し厳しいことを言う事になると思いますが、愛ゆえだということはお断りしておきます(笑)

 

 

マツダというメーカーの立ち位置

私が最近乗ったマツダ車であるCX-5のオーナーだったのは4年程度でしたが何よりも惹かれたのが機能や走行性能に対しての値段=コストパフォーマンスが高かったことです。

 

当時20代の私は車好きでしたがお金がありませんでした。

 

CX-5以外にも注目していた車は当然あったのですが値段が倍以上したり価格の割には性能が高くないなど金銭的に非常に厳しいものがありました。有体に言えば身の丈に合った車が中々なかったのです。

当時私が乗っていたCX-5はガソリンモデルの25Sでした。確かミドルグレードで乗り出し280万円程度だったと記憶しています。

一方でトヨタや日産やホンダにもSUVはあったのですがいずれも300万円は優に超えてしまっていました。外車は当然それよりも更に高くて現実を知って絶望したのを覚えています(笑)

 

装備がほぼ全部載せのグレードで280万円ですから若いユーザーから大きな支持を得て大人気でした。そして漏れなく私もその虜となったわけです。
このマツダの基本方針は変わっておらず、今でも装備を盛りだくさんにしてコスパに優れた車を売ろうとしています。

 

では何故車の売れ行きが鈍くなってきているのでしょうか?

私は以下の3つの原因があると考えています。

  1. 価格帯を上げすぎた
  2. 車作りが独善的になっている
  3. デザインだけに頼りすぎ

一つずつ解説していきます。

価格帯を上げすぎた

多分原因の半分以上はこれに尽きると思います。

先述したように私が20代の頃にマツダCX-5を選んだのは「金銭的に余裕が無かったから」です。結果的にCX-5には大満足していましたが、検討段階で予算がもう100万円高ければトヨタのハリアーを買っていたと思います。

もし仮に今のCX-5とハリアーどちらを買うか?と聞かれれば迷うことなくハリアーを選ぶと思います。

マツダは素晴らしい自動車メーカーですがトヨタの車を同じ値段で買えるならどちらを買うか?と問われれば多くの人がハリアーを選んでしまうのが実情だと思います。

私がこう答えるのにはちゃんと理由があります。それは「同じ値段なら」トヨタ車の方がコスパに優れているからです。

たとえ購入時は同じ価格だったとしてもトヨタ車のSUVは圧倒的なリセールバリューを持ち合わせています。つまり実質的にハリア―の方が安く買えるわけです。

これはブランド価値でも同じことが言えます。

 

私は余り重視しませんが世の中にはトヨタブランドやホンダブランドをかなり重視するユーザーも沢山います。そういった人たちに同じ価格でマツダ車とトヨタ(ホンダ)車どっちを買う?と聞けば十中八九は大手自動車メーカーを選ぶでしょう。

 

つまり何が言いたいかと言うとマツダは確かに装備や性能を充実させた上で価格を上げているのかもしれません。
しかしそのこととユーザーが「その価格帯で買うかどうか」は全く別問題なのです。

不合理に聞こえるかもしれませんがブランド価値とはそういうものなのです。

 

いくらマツダが価格上昇の正当性を訴えてもユーザーが認めなければそれは「するべきではない価格上昇」なのです。
価格価値とはメーカーが一方的に決める物では無くユーザーに認められて初めて許されるものなのです。

 

車作りが独善的になっている

現在のマツダは「自分たちの考える最高の車」というのが確立されています。これは自動車メーカーとしては大事なことで独自色を出す為にも必要不可欠なことです。

しかし一方でこの考えが行き過ぎると極端な話「車は良いのに売れていないのはユーザーに理解されていないからだ」と考えてしまいます。私は現在のマツダはこのような考え方に片足突っ込んでいるように感じます。

例えばマツダが世界でも高く評価されているデザインについても「カッコイイ!」と評価する一方で「エグい」「やりすぎ」と考える人がいることも事実です。

またいくらデザインが格好良くても価格帯に見合っていなかったり、中身に見合っていなかったりしたら逆にユーザーは買いにくくなると私は思います。

ユーザーに新しい価値観を提供するのは素晴らしいことですが、ユーザーからの反応もきちんと分析すべきではないでしょうか?

売れていないのは大なり小なり商品が受け入れられていないからであり突っ走るのは得策とは思えません。

マツダは多チャンネル化が最良の道だと信じて突っ走り経営難に陥った過去がありますのでとても心配になってしまいます。

製品というのはユーザーに認められて初めて一流の製品となるのです。
もちろん圧倒的なシェアを誇るメーカーならばメーカー側から押し付けることもある程度はできますが、マツダはそこまでの規模を持っていないのですからもっと市場に敏感になるべきです。

 

デザインだけに頼りすぎ

これは②の「車作りが独善的になっている」と被る部分もあるのですが、やはりマツダを語る上で「デザイン」のことについて触れないわけにはいきません。

デザインというのは非常に難しいものです。ある人には素晴らしいデザインに思えてもある人には駄作に見えてしまうこともあります。

そんなデザイン部分で高く評価されているのですからマツダ車のデザインはやはり素晴らしいものがあるのだと思いますし、私自身も美しくて格好良いと思います。

しかしどうも最近「なんだか車がワンパターンだなぁ」と感じるようになってしまっているのも事実です。

 

マツダが似たようなデザインにしているのはメーカーとしてのアイデンティティを確立する為に敢えてデザイン(特にグリル)統一しているのです。これはBMWやメルセデスやアウディなどのドイツ御三家、更にはレクサス等も取り入れている手法で一目見てどこのメーカーか分かるためブランドの確立には非常に有効な手段とされています。

しかし一方で一歩間違えれば「全部一緒に見える」と言われてしまうリスクも孕んでいる諸刃の剣だと個人的には思っています。

 

いくらアイデンティティを確立できたとしてもデザインに変化が少なければ、デザインに惹かれてマツダ車のオーナーになった既存ユーザーは中々乗り換えてくれませんし下手をすれば他社の車に乗り換えてしまいます。

デザインというのはユーザーの入り口作りには有効ですがオーナーを引き留め続けるには「それ単体では」弱い武器だと言えると思います。

やはり自動車というのは運転してオーナーがどう感じるかという部分が大事になってきますから良いデザイン+αが大事になってきます。しかし今のマツダはエンジンもトランスミッションもシャシーもスカイアクティブが出始めた頃のままです。

マツダコネクトも改良されたとはいえ他社が大型モニターを採用する中で旧来の7インチという小型サイズに留まっています。

ハイブリッドも持たず、ダウンサイジングターボも持たず、ディーゼルも新型エンジンは出ず、期待のスカイアクティブXは期待外れでした。

 

いくらデザインが秀逸でもこれではユーザーが離れていってしまうのも仕方ありません。

 

期待しているからこそ辛口になる

ここまで最近のマツダが苦戦している理由を過去のオーナー目線から話させて頂きました。ハッキリ言ってしまうといまのマツダは全体的に魅力が薄くなってしまっています。

これは私の偽らざる気持ちです。(ロードスターはすっごく魅力的だけど!)

でもだからといってマツダが嫌いになったのか?と問われればハッキリと「NO!」と言えます。マツダほど独自の路線を行くメーカーは珍しいですし小さなメーカーだからこそできる車作りというのが絶対にあると思います。

規制でガチガチになっていっている自動車ですがマツダのようなメーカーが新しい風を吹き込んでくれることを期待して、これからのマツダを温かく見守りたいと思います。

そして良い車が出ればまたマツダ車にも乗りたいと思います。

 

初代CX-5は本当に良い車だった!

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