スイフトスポーツ

スイフトスポーツの排気量が1.4リッターターボになった理由

スイフトスポーツは先代まで自然吸気のNAエンジンで排気量1.6リッターを貫き通してきました。

しかし新型スイフトスポーツでは一転してエスクードのエンジンをチューニングして乗っけるという荒業に打って出ました。発売前こそ賛否両論ありましたが、結果的には大成功となりました。

しかし今まで「テンロク」と呼ばれ親しまれてきた1.6リッターエンジンを捨ててまで1.4リッターターボ化する必要はあったのでしょうか?その理由とはなんだったのでしょうか?

 

今回はそのあたりの理由を私の妄想も交えて解説していきたいと思います。

 

スイフトスポーツの排気量1.4リッター化も操る楽しさは変わらず

出典:https://kakakumag.com/car/?id=11129

スイフトスポーツはスズキ車の中でもジムニーと並んで異質な存在で、いつの時代もマニアに好かれる車でした。それはひとえに先代、先々代のスイフトスポーツがとても完成度の高い車でファンを魅了してきたからです。

新型スイフトスポーツはそんな先輩スイフトスポーツ達を「超えていかなければならない」というプレッシャーの元で開発されました。スイフトスポーツに求められるのはどの世代のモデルでも「操る愉しさ」にあることは間違いありませんが新型にもその部分は当然求められるわけで、「1.4リッターターボになった代わりに操る愉しさは低下しちゃいました!」ではファンは離れていってしまいます。

 

なぜなら探してみると分かるのですがBセグメントのホットハッチって排気量やボディサイズがべらぼうに大きかったり、パワーを突き詰めた結果車重がメチャクチャ重くなってしまっているようなモデルばかりなのです。

つまり直接的にスイフトスポーツの「ガチンコライバル」と呼べる車は存在しません。(とかいいつつ「スイフトスポーツのライバル」って記事とか上げちゃってますがあれは購入時のライバルってことなので、どうかひとつ(笑))

 

そしてそれは結局新型スイフトスポーツになっても継承する事ができましたし、1.4リッターターボエンジンになったことによる弊害というのも殆ど現れませんでした。

 

スイフトスポーツが1.4リッターターボになった理由とは

さて本題です。

新型スイフトスポーツ(ZC33S)がダウンサイジングターボ化した理由としましては以下の5つが挙げられます。

  1. スポーツカーに相応しい動力性能
  2. パワーを上げつつ環境性能をクリアするため
  3. 欧州車に対抗する為
  4. スイフトの進化による相対的な理由
  5. コストダウン

一つずつ解説していきたいと思います。
※なおこの記事は基本的に「スイフトスポーツのすべて」に掲載されているスズキスイフトスポーツ開発者の方々に対するインタビューを元に私なりに要約解説しています。

 

 

スポーツカーに相応しい動力性能

まず第一の理由はこれです!

スイフトスポーツがスポーツカーである以上普通のコンパクトカーとは一線を画す動力性能でなければいけないわけです。
先代のスイフトスポーツも数値こそ現行スイフトスポーツよりも低いエンジンを積んでいましたが普通のコンパクトカーに比べれば遥かに高い動力性能を有していました。何より上まで綺麗に回る素晴らしいエンジンでした。(私はいまだにHT81SかZC31Sに一度は乗りたいと思っています。)

スイフトスポーツの開発責任者であるスズキの「小堀昌雄チーフエンジニア(以下小堀CE)」もスイフトスポーツのすべての中で「新型スイフトスポーツには先代よりも更に尖った魅力が欲しかった」と語っておられます。

 

パワーを上げつつ環境性能をクリアするため

現在発売される新型車には厳しい環境性能基準&テストが課せられておりメーカーは日夜その基準をクリアすることと、より環境負荷の少ないエンジンを開発することに尽力しています。スイフトスポーツのK14Cのようなダウンサイジングターボエンジンは従来の1.6リッターNAエンジンと比べて非常に環境性能の高いエンジンとなっているのです。

ところで、なぜ最近多くなってきたダウンサイジングターボエンジンの環境性能が高いのか皆さんは理解していますか?

 

ダウンサイジングターボではない通常のエンジンですと同じパワーを出そうと思った時に排気量を上げるしかないのですが、排気量を上げてしまうと濃い燃料を噴射して爆発させる必要があり、燃料効率が悪いのです。

一方でダウンサイジングターボの場合ですとエンジンを小さくして排気量を下げる代わりにターボのタービンによってより多くの空気をエンジン内に送り込むことができて薄い燃料でも同じパワーを出すことができるわけです。

…とまぁエンジンに詳しい人からすればかなり乱暴な解説ですが、詳しく解説しようと思ったら尋常じゃない文字数になるので、ここではザックリと「ダウンサイジングターボエンジンとはこのようなものだ」と理解してもらえれば結構です。

このあたりはエンジン工学の分野ですのでもし興味を持った方は簡単な解説書を読んでみてください。

徹底図解・クルマの構造と走るしくみ

 

欧州車に対抗する為

冒頭でスイフトスポーツにライバルが存在しないと書きましたがそれはあくまで「国内」での話です。スズキ以外の日本メーカーは景気が良い時にはスポーツモデルをこれでもかと出しますが、景気が悪くなると簡単にモデルをラインナップから抹消してしまったり名前だけ同じにして全く別物の車にしてしまったりします。(ホンダのアコードとかシビックがいい例です)

しかしスイフトスポーツは景気の荒波に揉まれながらもずっとラインナップし続けた「歴史」があります。そういった意味で国内にライバルが存在しないんです。なんとも悲しい事ですが。

 

しかし海外メーカーはそんなことはありません。特に欧州にはクラス毎にスポーツモデル(それも外見だけじゃなくきっちり仕上げた)があってメーカーと車そのもののブランド価値を引き上げる役目を果たし続けてきました。

実際に小堀CEは「スイフトスポーツのすべて」の中で具体的に比較対象とした海外メーカーの車の名前を挙げていて、それらに乗って現在の世界的なホットハッチの流れを確認したと語っておられますが、残念ながらその中に日本メーカーの車は一台たりとも入っていません。

ただ欧州車に対抗するといっても海外のホットハッチのトレンドは「モアパワーモアスピード」ですので直接的に取っ組み合うのではなくスイフトスポーツは独自路線でいこうと決めたそうです。そして産まれたコンセプトが「アルティメイト・ドライビングエキサイトメント(究極の運転の刺激」です。

このコンセプトが表す意味はスイフトスポーツが最高速度や出力の大きさ等の絶対性能を追い求めるのではなく日常で使い切れる身の丈にあった性能をもった車だということです。

新型に搭載された1.4リッターターボエンジンはNA1.6リッターでは少し刺激が足りないので世界的なホットハッチのトレンドになっているハイパワー化を取り入れつつ、でもスイフトスポーツらしさを損なわないようにする。そんなある意味良いとこどりのエンジン排気量になっているのです。

 

スイフトの進化による相対的な理由

スイフトスポーツはベースをノーマルのスイフトと共有しているのですが、ノーマルスイフトにはRStというターボエンジンを積んだグレードやハイブリッドモデルがあり非常に良くできてパワーもある車になっています。スイフトスポーツとの細かい違いは以下の記事で解説していますのでそちらを読んでください。

スイフトスポーツの違いは?普通のスイフトとオススメはどっち? スズキのホームページを見てもイマイチ分かりにくい「素イフト」と「スイフトスポーツ」の違いを解説しています。 「スイスポ気になる...

ほぼ同じボディを持ちダウンサイジングターボを積んだ車…これでスペックまで若干の違いで落ち着いてしまってはスイフトのフラグシップモデルのブランド価値を損ねてしまいます。

あくまでスイフトスポーツはスズキ車の中で圧倒的に速く楽しく特別でなくてはいけない訳です。

実はこの点についても小堀CEは「スイフトスポーツのすべて」の中で当初はRStをスイフトスポーツと位置付ける事も考えたと述べています。しかし「性能的にスポーツカーとしては物足りない…」と感じたので車格が上の車であるエスクードのエンジンをブチ込むという攻めた選択をしました。

だからある意味スイフトスポーツに1.4リッターターボが積まれているのはノーマルスイフトの完成度が高いということの裏返しでもあるわけですね。

 

コストダウン

出典:https://response.jp/article/2018/03/30/307945.html

実はスイフトスポーツのエンジンは代々エスクードと共有しているんですがスイフトスポーツが1.4ターボ化したのと同じ時期に当然エスクードも1.4ターボ化しています。

スイフトスポーツを1.4リッターターボ化したからエスクードも1.4ターボ化したのか、はたまたその逆なのか、それとも1.4エンジンを新開発したから少しでも多くの車に載せようとしたのか…

卵が先か鶏が先かみたいな話でスズキの開発者しか真意のほどは分かりませんが、エンジンという車の部品の中でも一番金のかかるパーツを共有することは非常に大きなコストダウンになりますので、スイフトスポーツが1.4ターボ化した背景には多少なりともコストダウンという理由は存在するでしょう。

「コストダウン」というと「手抜き」というイメージを持つ人が結構いますがすべて専用設計のスイフトスポーツなんて作ったらスーパースポーツ並みの値段になっちゃいます(笑)

だからコストダウンは1.4リッターターボエンジンになったことで得たメリットの一つだと私は考えています。

 

まとめ:排気量を1.4リッターにしたのは大正解!ただワガママを言わせてもらうと…

ここまで読んでみていかがでしたか?開発者の小堀CEがどのような目的をもってスイフトスポーツの排気量をダウンサイジングしたのかが分かっていただけたかと思います。私も小堀CEの考え方は支持しますし、実際に保有してみて満足感が非常に高いので選択は間違っていなかったと感じています。

しかーし!しかしですよ。

一つ欲を言わせてもらうならばもう少し「官能的な演出」を煮詰めて欲しかったというのはオーナーとしての正直な気持ちです。それはエンジンのリミッターであったり音であったりパワー特性であったりと、様々な要素が絡み合って作り出されるので簡単に「これをこう変えれば官能的になる!」というものではありませんが。

開発の段階で少しでも「スポーツカー特有の」そういった要素を取り入れて欲しかったなと思います。NAエンジンのような高回転型は無理にしてもターボ車ならではの楽しませ方があるでしょうし、代々スイフトスポーツを作ってきた開発者の方々なら言われるまでもないことでしょうしね(笑)
そういったドライブを楽しむ為の部分にお金をかけてくれて「多少」車両価格が上がる分には文句ありません。

次にスイフトスポーツが変化するのがマイナーチェンジになるのか次期型になるのかは分かりませんが、その時には期待したいですね。

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